中小企業の海外進出【株式会社コージツ】

株式会社コージツ

株式会社コージツ
代表取締役 別府直樹氏 


代表取締役 別府直樹氏

はじめに


2021年11月15日(月)に行われました、Webinar Japan株式会社主催の経営サバイバルダイアログでは「中小企業の海外進出」がテーマでした。
3名の実務経営者と1名のコメンテーター、日創研グループ代表田舞が質疑応答や議論をした内容のうちコージツ別府様にスポットを当ててまとめたレポートです。

株式会社コージツ【概要】

1993年創業
大阪本社で貿易に関する倉庫業、運輸業、通関業をされています。
国内に5か所の拠点を有しており、国際事業部と商業事業部を展開しています。
物流業界は国内に関しては競争が激しく、また参入する事業者もありますが、国際物流に関してはまだ企業数も多くない為にライセンスを取得して事業をされています。2018年には現地法人を設立しています。
自社の敷地内で一括して梱包できたり、混載という方法を取ったりして輸出の効率をあげており、これから更に発展させてモンゴルの活性化に貢献していく為に取り組んでいらっしゃいます。


海外進出のきっかけ

まず初めに別府社長に海外進出のきっかけと目的をお聞きしました

2014年にお客様と初めてモンゴルに行ったことがきっかけです。この時は事業をするという意味を持って行ったわけではありませんでした。
モンゴルはマーケット規模が程よく、大手がターゲットとはしないという点がありました。また日本との関係も良いという利点があります。
課題としては3000Kmという距離があり、中国の天津を通ってからの配送が必要になり、参入しようという企業がほとんどありませんでした。
そこで、本業の物流を通してやっていけると考えてモンゴル市場で進出をしました。また装置産業ではない為に、スタートしやすいという利点もあり始めました。


海外進出のリスク

海外進出でのご苦労などはございますか?

コロナによるロックダウンで物が送れないことがありました。
天津から列車の輸送予定が間に合わないからトレーラーにするなど対応が必要になると価格が更に上がるなどの契約以上の物流コストがかかることもあります。
またモンゴルも貧富の差が激しくウランバートルにはゲル地区という貧困の方が住む地域もあります。
そこにいる方々は仕事を複数持っている人がほとんどでその為に、目を放している間に違う仕事をしているという事もあります。


モンゴルへの進出

モンゴルと日本との国際条約やそれによる影響はありますか?

日本とモンゴルにはEPA条約があります。但し、2014年時に30億程度あった貿易額について今は半分程度になっています。
理由としては輸送コストであり特に石炭の購入額が減っていることが上げられます。
EPAも品によって税率も違うので、モンゴルの方々は力を入れて締結するようになりましたが、大きな効果は上がっていないように感じています。

地理的には大国中国がモンゴルと日本の間にありますが、影響はありますか?

モンゴルにとってやはり中国は脅威になっていると感じています。
コロナ禍でもモンゴルの国境は移動を許可しても中国側の許可がおりずにストップすることがありました。
今後の脅威としては中国が電気自動車を強化していますが、日本のリチウムイオン電池搭載車は通さないという事があるかもしれないと考えています。


海外進出で得たもの

海外進出のメリットをどのように感じていますか?

一番良かったことは自社の強みを活かして、貢献できている実感できるようになったことがあります。
非常に高い課題に対してチャレンジしている最中ではありますが、その分スキルを身につけられていたり、知ることが出来たりしています。
だからこそ、モンゴル進出を考えている大手からも声を掛けてもらえていることに繋がっていると思います。


同業の物流関係のお仕事をされている方から株式会社コージツ様へのコメント

【一人目】
チャレンジが素晴らしいですし、その中でしっかりと収益をあげられているところは本当にすごいと思います。
モンゴルでも運送という分野で日本のビジネスモデルが通用するのか気になります。

【二人目】
ベトナムでは大手が進出している中で、今後モンゴルに大手が来る可能性がありどう差別化するのかがこれから必要になるのではないかと思って聞いていました。